お薬屋さんのコラム

チョット役立つマメ知識

薬局のハカリは検査が必要なのはご存知ですか?

薬局の業務に欠かせない重さを量るハカリ。今回はこの業務用の秤のお話しです。

薬局では錠剤やカプセルの他にも、粉薬や軟膏など形状が一定でないお薬も扱います。これらの薬は何グラムと重量で表現されます。そこで使われるのが秤です。

薬局で使う業務用の秤は0.001g(1gの千分の1)まで量れる精度です。基本的な機能の秤は約6~8万円程ですが、高機能なものは50万円と値段も高価です。
身近なキッチンスケールとは大きく精度が異なります。

そのため、業務に用いる秤には、精度の基準が計量法という法律で定められています。
この精度基準をクリアしていない秤を業務に使うことは禁じられています。
法律が定める公的な検定を受けて、2年ごとに精度を確認します。

秤の検定は、理科の実験のように何種類かの分銅を秤に乗せて精度を確認していきます。
ちなみに、計量法が基準を定める機器は、重量を測る秤だけでなく、体積や距離などを量る機械も含まれます。水道メーター、電力メーター、タクシーのメーターなどです。
これらの機器も検定を受けないと業務に秤が使えない上、罰金を納めなくてはなりません・・

このように精度の基準が設けられている秤ですが、日本国内どこでも同じ数値を示す訳ではありません。
えっ、どういうこと?次回に続きます。

2019/08/15

行政の取組み

水銀回収事業

岡山市内の薬局で体温計や血圧計など水銀を用いた測定器具を無料で回収しています。赤松薬局各店でも回収していますので、お持ち下さい。

でも、なぜ水銀を回収する必要があるのでしょうか。今回は水銀による環境汚染についてお話します。

そういえば最近の体温計や血圧計はデジタルで、水銀の体温計を見かけなくなりました。
あまり知られていませんが、「水銀による環境汚染の防止に関する法律」により制限を受けているからなのです。

えっ、体温計の水銀って環境を汚染するの?

体温計で使われる水銀は、液体状態の金属水銀です。多量に飲み込まない限り毒性はほとんどありません。
問題なのは、液体から気体化した水銀の蒸気です。大気中を漂い、雨と共に川や湖に移動します。
金属水銀は、水中にいる微生物によって毒性の高いメチル水銀へと変化します。
メチル水銀はプランクトン→小魚→大きな魚→人間という食物連鎖によって濃縮され、健康に悪影響を及ぼします。1950年代に起きた水俣病は、メチル水銀が原因です。

水銀製剤の回収が環境への飛散を防ぐことにつながります。
そのため、各自治体は各種団体と協力して回収を呼び掛けています。
岡山市薬剤師会も岡山市と協力して回収事業に参加しています。
赤松薬局各店でも回収しています。体温計や血圧計などの水銀製剤をお持ち下さい。

2019/07/18

感染症について

風疹に対する自治体の取組み

前回は、風疹はお腹の赤ちゃんに多大な影響を及ぼす事、
予防接種を全く受けていない年代の男性が感染源となり流行を引き起こす可能性が懸念されている事、
厚生労働省は予防接種対策に乗り出したことをお話しました。

予防接種は1960~1980年代生まれの男性が対象となります。
まず免疫力を示す抗体の有無を調べ、抗体が無い人、抗体の量が少ない方に予防接種を行います。

平成31年度は、昭和47年~昭和54年生まれの方が対象となります。
まず市町村からクーポン券が郵送されます。検査実施可能な医療機関に持参すれば検査が受けられます。

2019年5月から案内が開始される予定だそうです。抗体検査は採血を行います。
通常なら費用負担が生じますが、今回の対策ではクーポン券で費用が助成され、原則無料となります。
また、検査結果により、予防接種が行われる場合もありますが、この費用も原則無料です。

昭和37年~昭和46年生まれの方は翌年度の実施となります。
来年まで待てないよ!という方は、市町村の保健所に連絡すればクーポン券を発行してくれます。

仕事で忙しいし・・面倒だし・・痛いのはゴメンだし・・気持ちは分ります。

でも、検査を受けて免疫をつけることは、自分を守るだけでなく、周りの人々、何よりこれから生まれてくる子供達を守ることにつながります。

五体満足で無事生まれて来ることは、親だけでなく周りの人の願いです。検査を受けることは愛の行動だと思います。

子供達が健やかに生まれてくるために検査を受けましょう!

2019/06/20

感染症について

風疹に対する國の取組み

風疹という病気をご存知でしょうか?
風疹ウイルスによる感染症です。
妊婦さんに大きな影響を与える事をご存知の方も多いと思います。

風疹の恐ろしさはお腹の中にいる赤ちゃんへの影響です。
免疫のない女性が妊娠中に感染して発症すると、免疫力がない赤ちゃんまで感染して先天性風疹症候群となります。
その結果、難聴、白内障、心疾患など、生まれながらに障害を抱えてしまうのです。
母体に免疫力があれば赤ちゃんへの感染は、ほぼ防ぐことが出来ます。

このため、1960年代から女子に集団予防接種を実施してきました。
1980年代からは男子にも拡大されました。

ここで問題なのは、1960~1980年代生まれの男性は全く接種を受けていないことです。
職場や仕事で妊娠する可能性がある女性と接する機会も多く、これから子供を授かる可能性も十分にある年代です。

風疹ウイルスは、インフルエンザより強い感染力があります。免疫力のないこの世代の男性は、感染源となって流行を引き起こす可能性があるということです。

そこで、厚生労働省は免疫力を示す抗体の有無を調べ、無い人には予防接種を行う対策に乗り出しました。2019年4月から開始されます。
抗体の有無を調べることは、自分を守るだけでなく、周りの人々、何よりこれから生まれてくる子供達を守ることにつながります。

調べてみようかな・・・でも一体どうすれば良いの?
検査は自治体が行います。次回は自治体からの案内や時期についてご紹介します。

2019/05/16

チョット役立つマメ知識

5月5日は何の日?

突然ですが、5月5日は何の日でしょうか?
そんなの子供の日に決まってるでしょ。はい、端午の節句、その通りです。
ちまきや柏餅を食べて菖蒲湯に入り、子供の健やかな成長を願いますね。

でも、実は「くすりの日」でもあるのです。今回は「くすりの日」の由来についてお話します。

約1300年前の飛鳥時代、当時の天皇は5月頃に「鹿狩り」をしたと伝えられています。
鹿の角は、元気をつける漢方薬、鹿茸(ろくじょう)として重宝され、今でも栄養ドリンクなどに配合されています。

さて、聖徳太子がいたころ頃の天皇は、女性の推古天皇でした。女性なので「鹿狩り」ではなく、薬草をつむ「薬狩り」を5月5日に行ったと伝えられています。これが「くすりの日」の由来です。
ちなみに「薬狩り」は恒例行事として長く続いたとのことです。

ついでに菖蒲湯の由来も。
古くから中国では、薬草独特の強い香りが疫病や邪気を払うと考えられていました。
菖蒲や蘭草(洋蘭ではなく、秋の七草のフジバカマ)を入れる漢方の湯治療に用いていました。

日本では蘭草が少なかったため、菖蒲が定着したと言われてます。

菖蒲にはアザロンやオイゲノールなど、代謝や血行を良くする成分が含まれています。

菖蒲湯に入りながら、子供の成長を願うと共に、自然と共に暮らした先人の知恵に思いを巡らせ、健康を考える機会にしてはいかがでしょうか。

2019/04/18

チョット役立つマメ知識

フレイルに影響する3つの要素

さて、フレイルについて3回に渡り解説してきました。

フレイルというと体や口などの動きだけが取り上げられがちです。
身体的な動きの他にも、2つの関連要素があるのはあまり知られていません。
3つの要素を基に身体活動や健康状態を表す大きな概念がフレイルなのです。3つの要素・・・簡単にご紹介します。

①身体的要素 筋力や柔軟性など体の動きの要素です
②精神的要素 認知症やうつなど活動する気持ちに影響する要素です
③社会的要素 仕事やお金など活動するための経済的な要素です

でもこの3つの要素の関連性って分りにくいですね。

動きたくても体が言うことをきかなければ活動性は落ちます。
体が動くけど気持ちが乗らなければ活動性は落ちます。
体は動くし気持ちもあるけど金銭的な余裕がなかったり仕事で時間がとれなければ活動できません。

動く気力、そのための時間、体が動く、3つの要素が健康な生活に必要なのです。関係性が何となくイメージできましたか?

動いて食べて寝る、社会性という周囲との関係、このサイクルがスムースに回ることが健康的な生活=フレイルを予防することにつながります。
色々な人との交流がこのサイクルを活性化します。

家の中でテレビばかり眺めるではなく、外に出て色々な人と話しましょう。
フレイルにならないことは、自分の穏やかな生活が続くだけでなく、周囲の人も笑って暮らせる幸せな時間が続くことにつながります。

2019/03/21

チョット役立つマメ知識

口にもフレイルはあります

前回、フレイルには運動と栄養が大きく関わるとお話しました。
今回は栄養を摂取する口の動きについてお話します。

栄養と言うと、あれが体に良い、あの健康食品が良いとお友達が言ってた・・・でもそれらは、食べる飲み込むなどのスムースな口の動きがあってのことです。
体の動きだけに注目しがちですが、栄養を摂取する口の動きもフレイルに大きく影響するのです。

「モグモグ」「カミカミ」「ゴックン」、いずれも口の動きの表現です。
「モグモグ」と「カミカミ」は、舌やアゴの筋肉と、歯を支える筋肉も使います。
「ゴックン」も奥に押し込む舌の筋肉、食道へ送り込むノドの筋肉を使います。
食べるためには歯が残っていることも重要ですが、口の筋肉がスムースに動くことも大事なのです。

筋肉が衰えスムースに動かなくなる、口の動きにもフレイルの考えがそのまま当てはまります。
ということは、口の動きもリハビリなどで元に戻せるということなのです。

では口の動きを保つにはどうすれば良いのでしょうか?
口と舌を動かす体操、柔らかい物ばかりを食べない、などですが・・・やっぱり話すこと!
女性の平均寿命が長い理由は案外これなのかもしれませんね・・・

口が元気に動くことは老化を防ぎ、健康な生活が続くことにつながります。
体を動かすことも大事ですが、口も意識して動かしましょう。

2019/02/02

チョット役立つマメ知識

どうしたらフレイルって分るの?

前回は筋肉が衰えて活動性が落ちた状態をフレイルと紹介しました。
さて、フレイルな状態を判断する目安を今回はご紹介します。

特別な検査は必要なく、5つの項目から判断します。
①体重減少 ②筋力低下 ③疲労感 ④歩行速度 ⑤身体活動

①この半年で2~3Kg以上の体重減少の有無で判定します。
②筋力は握力を測定します。男性で26Kg、女性で18Kgを超えると筋力は保たれていると判定します。
③日常生活に大きな変化はないのに、ここ半月ほどで訳もなく疲れた感じがするしないで判定します。
④歩く速さは横断歩道を信号が変わるまでに渡りきれるかで判断します。青信号の時間は、1秒に1m進むことを前提に設定されています。フレイルを判断する歩く速さも同じです。赤信号になる前に渡り切れたら健常と判定します。
⑤日常的に体操や軽い運動をしているか、定期的に運動を続けているかで判定します。

該当する項目が0は健常、1~2はプレフレイル、3以上がフレイルの目安です。フレイルが更に進行したのが介護状態です。
いかがでしたか?
もし幾つか該当する項目があっても、適切な運動と栄養摂取でフレイルからプレフレイルに、更に健康な状態にまで戻すことが可能です。一方通行ではないのですね。

前回もお話しましたが、フレイルを改善する方法は、歩いたり散歩するなど日常の運動量を少し増やして筋肉をつける、これにつきます。
ハードな運動でなくても効果はあります。

次回はフレイルに大きく関わる要因、栄養を摂取する口の動きについてお話します。

2019/01/17

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