お薬屋さんのコラム

腸内細菌について

腸内細菌と免疫 ~その3~

前回は、数々のハードルをくぐり抜けてお腹の中に入ってくるバイ菌やウイルスを迎え撃つ最前線の防御基地、免疫細胞が腸には多数存在することをお話しました。

腸にたどり着いた物質は栄養なのか?それとも害を与える脅威なのか?
判断を下すことから免疫反応は始まります。

その役割を担うのがリンパ組織の「パイエル板」です。
パイエル板が敵だ!と認識したら、迎撃システム稼働の指令が出ます。
指令を受けて迎撃するのは、T細胞やB細胞です。
直接戦うこともありますが、IgA抗体というミサイルを発射して迎撃します。

ちなみに、IgA抗体は初乳にも多く含まれ、生まれたばかりでまだ免疫がない赤ちゃんの腸管免疫をアシストしてくれます。

司令部はパイエル板、戦闘部隊はT細胞やB細胞、迎撃ミサイルはIgA抗体、これらがスムースに連動して防御するのです。

成程ねぇ~。私たちのお腹にはそんな防御システムがあるのね。知らなかったわぁ~。
あら、でも腸内細菌はどう関わっているの?

次回に続きます。

2024/03/29

腸内細菌について

腸内細菌と免疫 ~その2~

突然ですが、腸の表面は体の外側でしょうか?内側でしょうか?
んー体の中だから内側じゃないの?
いえいえ、腸の表面は体の外側なのです。

口からお尻までは1本の消化管が通っています。
管なので胃や腸の中にある空気は、普段私たちが接する外の空気と同じなのです。

外の空気には病原菌やウイルスが数多くいます。
ですので、消化管の中の空気にも数多くの病原菌やウイルスがいるのです。

ノドを通過して胃にたどり着いた外敵、先ず食べ物を消化する酸性の胃酸によって多くが死滅しますが、それでも死なない病原菌やウイルスもいます。
胃酸の洗礼を潜り抜けて腸にたどり着いた菌やウイルスは、腸から体の中に忍び込んで悪さをしようとします。
口から始まる消化管は常に外敵の脅威にさらされているのですね。

そのため、腸には外敵から体を守る免疫細胞があるのです。
腸にある免疫細胞は、菌やウイルスなどの外敵を迎え撃つ最前線の防御基地なのです。
体内にある免疫細胞の約5割が小腸、約2割が大腸に存在すると言われています。腸管免疫と言われています。

なるほど~、数々のハードルをくぐり抜けてお腹の中にもバイ菌って入ってくるのね。

でも、どうやって残ったしぶといバイ菌を迎え撃つの?
次回に続きます。

2024/02/16

腸内細菌について

腸内細菌と免疫 ~その1~

腸内細菌についてシリーズでお届けしてきました。今回からは腸による免疫についてお話します。

腸内細菌は体を護る免疫にも大きく関わっています。
腸内細菌と免疫?どんな関係かわかんないわ。

腸内細菌には色々な菌がいます。
体に良い善玉菌、悪い悪玉菌、どちらでもない日和見菌です。バランスは2:1:7が良いと言われています。

このバランスが崩れ悪玉菌が増えると、有害な毒素が多く産生されます。この毒素が腸から吸収されて体に入ると体調不良につながるのです。
一例として、便秘による肌荒れは、毒素を皮膚から排泄しようとして起きるのです。他にも色々なケースがあります。

では良い菌で腸を埋め尽くしてしまえば、悪い菌が増殖する余地が無くなるのではないのか?
これが腸活の基本的な考え方です。コロナイゼーションレジスタンスとも言われます。

更に善玉菌は腸の表面にある免疫を活性化させる細胞にも働きかける役割を持っているのです。

腸に免疫の細胞があるの?知らなかったわ。
しかも善玉菌が活性化させるってどういうコト?つながりがわかんない。

次回に続きます。

2024/01/18

腸内細菌について

腸内細菌はどこからやって来るの?

腸内細菌についてシリーズでお届けしてきました。
では、腸内細菌は一体どこから私達のお腹の中にやってくるのでしょう?

子宮の中はほぼ無菌状態です。当然腸内細菌もいません。
お腹の中にいる赤ちゃんには、まだ腸内細菌が居ない状態なのです。

え、じゃいつお腹の中に入ってくるの?その答えは出産の時です。腸内細菌は産道にもいるのです。

出産の際、赤ちゃんの口が産道に押し付けられ、赤ちゃんの体の中に初めて入ってくるのです。
母子伝播(でんぱ)と呼ばれます。

また、帝王切開ではその機会がありませんが、出産後に母乳や食べ物を通じて腸内細菌はお腹の中に入り、3歳頃に大人とほぼ同じとなります。
また、一緒にお風呂に入ることがお腹に入る機会になるという最近の研表もあります。

腸内細菌は、人が消化できなかったものを消化したり、人がつくれない栄養素を作り出してくれて人と共存しています。
しかし、腸内細菌の役割はそれだけではありません。もう一つ、免疫にも大きく関わっているのです。

免疫?どういうコト?次回に続きます。

2023/12/21

チョット役立つマメ知識

渋柿はナゼ渋い?

渋柿はナゼ渋いのでしょうか?
子供の頃に渋柿をガブっといったことがあります。その渋さといったら・・40年経った今でも覚えています。
でも渋柿はナゼ渋いのでしょうか?
渋柿だからだろ。ハイ、その通り。以上で今月のコラムを終了します。オイオイ終わりかよ!

渋みを感じる物質はタンニンという化学成分です。
このタンニンはとても水に溶けやすく、唾液にも容易に溶けこみます。
唾液に溶けて口に広がったタンニンは、口粘膜のタンパク質を変化させます。
肌や粘膜のタンパク質を変性させて引き締める「収れん」という効果です。
化粧水にも肌を引き締める収れん化粧水がありますよね。
この変化によって、口の中全体に張り付いたような渋みを感じるのです。

余談ですが、タンニンによる収れん作用、下痢止めにも応用されてます。
タンニンを蛋白と結合させた医薬品、タンニン酸アルブミンは、消化酵素によってタンニンとタンパク質に腸で分離します。分離したタンニンによる収れん作用で下痢を止めるのです。

さて、タンニンが水に溶けると渋みを感じます。
水に溶けない状態にタンニンが変化すると、収れん作用がおきなくなるため、渋みを感じなくなります。
この変化を起こさせるのが渋抜きです。焼酎につけたり干したりと様々なやり方がありますね。

実は、甘柿にもタンニンは含まれてます。
甘柿のタンニンは水に溶けない状態となっているため、渋みを感じないのです。
甘いか渋いかの違いは、タンニンが水に溶けるか溶けないかの違いなのです。
甘くなる理由はわからなくても、昔の人は経験を積み重ねて秋の味覚を楽しんでいたのですね。
先人の知恵は偉大ですね。

2023/11/16

腸内細菌について

腸活のススメ ~その4~

前回は、腸内細菌を食べ物から取り入れる方法についてお話ししました。
今回はオススメ簡単レシピを紹介します。

***ヨーグルト甘酒*** 
材料(1人分)  ・ヨーグルト(無糖)60g  ・米こうじ甘酒
  60gの
ヨーグルトと甘酒を混ぜ合わせたら完成です。

甘酒に含まれるオリゴ糖と食物繊維がヨーグルトに含まれる善玉菌のエサになり、より効果的です。
混ぜるだけで簡単なので、ぜひ試してみてください。

***アボカドのみそ漬け***
材料  ・みそ 大さじ2  ・みりん 大さじ2  ・アボカド 1個

ジッパー付き袋などに みそとみりんを合わせて混ぜます。
アボカドは皮を剥いて種を取り、5mm幅に切ります。
みそとみりんを混ぜたものにアボカドを入れて軽くなじませ、冷蔵庫で2~3時間置きます。
みそを軽く拭って完成です。
今回はアボカドのレシピですが、ごぼう・にんじん・きゅうりでも美味しいです!
お好きな野菜でいろいろ作ってみてください。好みの味が見つかるかもしれません♪

2023/10/19

腸内細菌について

腸活のススメ ~その3~

前回までは、腸内細菌を増やす方法と、大きく影響する要素に関するお話でした。
今回は、食べ物から取り入れる方法についてお話します。

善玉菌と呼ばれる腸内細菌を体内に取り込むには、善玉菌を含む食材を食べることが大切です。
善玉菌を含む食材は、納豆、お味噌、ぬか漬けや浅漬けなどの漬物、キムチ、ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料などです。
発酵食品が多いですね。人間は昔から微生物がもたらす恩恵を上手に利用していたのですね。

また、サプリメントや医薬品も種類が豊富ですね。
赤松薬局では、納豆菌、乳酸菌、ビフィズス菌、ビール酵母が入ったコンチーム錠を積極的にオススメしてます。

善玉菌は生きた菌のため、熱と胃酸に弱く活性を失います。加熱しすぎない事、消化液である胃酸が食べ物で薄まる食後に食べることが効率的に摂取するコツです。
また、冷たすぎても活発になりません。納豆やヨーグルトは冷蔵庫から出してすぐの冷えた状態より、常温に戻した方が菌の活性が上がります。
また、以前にも紹介しましたが、摂取した善玉菌がより増えやすくなる食材もいっしょに食べるのがオススメです。体内で増えてより効果的です。

うーん、でも腸に良い料理ってどんなのがあるの?オススメのレシピは次回紹介します。

2023/09/30

腸内細菌について

腸活のススメ ~その2~

前回は、腸内細菌の発育には栄養が大きく影響するというお話でした。
今回はもう一つの要素、温度についてお話します。

人間の体内は37℃前後に保たれ、変動することはほとんどありません。深部体温とも呼ばれます。
この温度は腸内細菌にとって元気に発育できる温度なのです。

善玉菌と呼ばれる腸内細菌は、温度の影響を大きく受けます。
温度が高いと耐えられずに死んでしまい、低過ぎると活性が下がり動きが止まります。

では、腸内の温度に影響するモノとは?
スバリ!食べ物や飲み物の温度と、気温です。

夏は冷たいモノが多くなり胃腸も冷えやすくなります。エアコンも体を冷やします。
夏場の胃腸ダウンは冷えることが原因のひとつです。
胃腸の温度が下がると菌も活性が落ち、発育が遅くなります。

あら、ではどうすれば良いの?

最も有効な対策は、暖めることです。
冷えて調子が悪くなるものは、暖めれば調子が戻ります。腸内細菌も暖めれば元気を取り戻すのです。
余談ですが、納豆は冷蔵庫から出してすぐより、常温に戻した方が菌の活性が上がります。

寒い冬でも同様です。
気温が低いと体温が奪われ血管が収縮し、循環する血液も減って更に体温が下がって体が冷えるため、胃腸も冷えるのです。
温かい飲み物やお鍋は、体を中から暖めるので体温が上昇します。

夏でも冬でも体を冷やさず暖めることが腸内細菌を元気にするコツです。
次回は善玉菌を取り込む方法についてお話します。

2023/08/17

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