お薬屋さんのコラム

行政の取組み

岡山市によるフレイル対策 その2

前回は岡山のフレイル事業を簡単に紹介しました。
今回はフレイルをチェックする内容についてお話しします。

健康に関する25項目の質問と、握力測定によってフレイル状態を判定します。
質問の内容は、運動や外出する機会、日常生活の体の動き=ADL、口の状態や栄養などです。質問には、「はい」「いいえ」で答えていきます。
また、全身の筋力が反映される握力も測定します。

でも、どうしてこんな内容になってるの?
体も心も健康であるためには、25項目の要素がスムースに連動することが必要なのです。上手くかみあわない状態はフレイルへと進行しやすいのです。

チェックした内容は点数化されます。点数が低いほど健康です。
高いほどフレイルへと近づいていると考えられるため、予防が必要と判定されます。

点数が多かった方のうち、予防プログラムを希望する方には岡山市から案内が届きます。希望するしないは個人の自由です。

案内には、「ふれあい・いきいきサロン」や「あっ晴れ!もも太郎体操」など地域の人々が交流する通いの場、公民館活動の案内、健康イベントが紹介されています。
この案内にもお金はかからず、無料です。
また、介護予防センターの専門職員から個別の指導を受けることもできます。

えっ、チェックしてみようかな・・・しかもお金はかからないし・・・でも窓口はどこ?
次回はチェックできる場所を紹介します。

2020/02/20

行政の取組み

岡山市によるフレイル対策 その1

今回から2019年よりスタートした岡山市によるフレイル予防事業を紹介します。
「介護が必要な状態=フレイル」となりそうな人を早く見つけ出して進行を防ぐという事業です。
群馬県で成功した取組みを参考にしたようです。

群馬では、フレイル予防活動、カラダの動きのチェックに重点を置いた健康診断を実施しました。
その結果、健康な状態でいる期間が延び、新たに介護へと移行する人が少なくなりました。
そのため、税金で賄われる行政の介護費用が減少し、介護保険財政は赤字を脱却しました。また、介護保険料も安くなりました。

岡山市の事業では、健康に関する25項目の簡単な質問と、筋力の目安となる握力を測ってチェックを行います。しかもお金はかからず、無料でチェックができます。
予防活動によってフレイルへの進行を防ぎ、健康を長く保ちましょう、ということですね。

ただ、予防活動なので、既に要介護や要支援の認定を受けている方は対象外となります。また、対象年齢は65歳以上が目安です。

介護認定も受けてないし・・・チェックしてみようかな・・・次回はもう少し詳しくチェック内容を紹介します。

2020/01/16

チョット役立つマメ知識

お酒を楽しく飲むコツ その2

年末年始のお付き合いが増える時期になりました。楽しくてついつい・・翌朝ヘロヘロ。はぁ~また、やってしまった・・・反省したことがある人もおられるのではないでしょうか。

あれ、先月もお酒の話しだった気が・・・前回は、吸収されたアルコールが体の外に出て行くまでをお話しました。
今回は、アルコールが吸収される過程をふまえ、お酒の上手な飲み方を考えます。

さて、お酒に含まれるアルコールは体のどこで吸収されるのでしょうか?
そりゃ胃腸に決まってるだろう。ハイその通りです。

食べ物や飲み物は口から食道を通り胃へ、胃から腸へと送られます。アルコールの吸収は、大部分が腸からです。
その割合は、胃で約20%、腸で約80%です。

胃から腸にアルコールがゆっくりと送られれば、吸収のスピードも緩やかになり、急に酔わないことになります。
胃の中に留まる時間の長い短いがアルコールの吸収スピードに影響するということですね。

ではアルコールが胃の中に留まる時間を長くするものとは・・・ズバリ食べ物です。

食べ物は、胃で消化しやすい状態にされてから腸へと送られます。
食べ物があるとアルコールも一緒に胃の中に留まるため、ゆっくり酔うのです。

和食コースの1品目「先付」には、空腹でのアルコール吸収を防ぐ意味合いもあるのです。
また、消化の良い物より、消化に時間がかかる繊維質が豊富な料理の方が留まる時間は長くなります。お酒は美味しく楽しく付き合うのが一番ですね。

逆に空きっ腹でお酒を飲むと早く酔います。胃をほぼ素通りして腸に届くからなのですね。

え、家に帰ってすぐビールを飲むとウマいし、すぐホロ酔いになるな・・・そのために仕事をしてるようなもんだ?実は私も・・・まったく酒飲みってやつは・・・

2019/12/19

チョット役立つマメ知識

お酒を楽しくのむコツ その1

お酒に含まれるアルコール、体のどこで分解されるのでしょうか?そりゃ肝臓に決まってるだろう。ハイその通りです。
今回は、吸収されたアルコールが体の外に出て行くまでと、お酒との上手な付き合い方を考えます。

胃腸から吸収されたアルコールは、血液の流れに乗って全身を巡ります。
脳に届いたアルコールが脳を麻痺させるため、お酒に酔うのですね。

また、全身を巡る血液により肝臓に届いたアルコールは、酵素の働きによって分解され無毒化されます。
肝臓の働きにより、時間の経過とともに血液中のアルコールは徐々に少なくなり、酔いが覚めるのです。
肝臓の酵素によりアルコール→アセトアルデヒド→酢酸という物質まで変化し、無毒化されます。そして体外へと排泄されます。

無毒化の過程で出来るアセトアルデヒドが頭痛や動悸などの二日酔いの原因となる物質です。このアセトアルデヒドが増え過ぎないようにすることが、二日酔いにならずに楽しくお酒と付き合うコツになります。

対策は2つ。分解能力を上げること、排泄量を増やすことです。
肝臓の働きを助けて分解能力を上げる医薬品をお酒の前に服用するのも良いですね。
排泄量を増やすには、むくみをとる漢方薬などが用いられます。お水を飲んで尿量を増やすのも効果的です。

お酒は美味しく楽しく付き合うのが一番ですね。
あ、もう1つ対策がありました。アルコールを摂取しないこと・・・です。

2019/11/21

チョット役立つマメ知識

法律でハカリを使うエリアが分けられているのはご存知ですか?

前回は緯度や標高によって重力が変化し、ハカリに影響することについてお話しました。今回はその対策についてお話します。

緯度や標高による重力の変化を補正するため、計量法では日本国内が16エリアに分けられています。標高や緯度を考慮したエリアに分けられています。

そのため、どのエリアで使うのかを設定する機能が業務用の秤にはついています。
つまり、北海道で設定された秤を沖縄に運んで使おうとすると、エリア設定の変更をしなくては正確に使えないということです。

また、秤が傾いた状態では真下に重みが伝わらないため正確に測れません。
秤の底にあるネジ回し式の足で高さを調整し、地面に対して水平な状態にします。

空気の泡が密封された水平計がついていて、真ん中の丸に入るように高さを調整して水平状態にします。秤を設置する時は必ずこの水平を補正します。

薬局だけでなく、お肉屋さんやお惣菜屋さんで使う業務用ハカリも水平を補正できる構造となっています。

計量法、なじみがない法律ですが、私たちの日常生活を見えない所で支えているのですね。

2019/10/17

チョット役立つマメ知識

北海道と沖縄ではハカリの数値がズレることはご存知ですか?

前回は薬局で使うハカリの精度は法律で基準が定められていることについてお話しました。
基準が定められているのに、秤は日本国内どこでも同じ数値を示すとは限りません。

えっ、どういうこと?

物体を地球に引き付ける力が引力です。
また、物体には地球の自転によって地球から離れようとする遠心力も加わります。
引き付ける引力と離れようとする遠心力との差、それが重力です。
遠心力より引力が大きいため重力が生じ、私たちは地球上に留まれるのです。

でもこの重力、地球上どこでも一定ではなく、緯度や標高の違いによりごく僅かに異なります。
地球が回転する中心軸、地軸からの距離が長いと遠心力は強くなり、短いと弱くなります。
地軸から遠い沖縄と、地軸に近い北海道では遠心力が異なるため、重力は同じではないのです。北海道では100Kgの物体が、沖縄では約140g軽くなります。
ちなみに北極点と赤道直下では約500gもの違いとなります。

同じ原理で標高も影響します。地表で100Kgの物体が、高さ約450mの東京スカイツリー展望台では約14g軽くなります。

わずかな違いに思えますが、これが高額なプラチナや金の重量だったら・・・困りますよね。
地域や標高の違いを補正する対策が計量法ではちゃんと規定されています。
どんな対策なの?次回に続きます。

2019/09/19

チョット役立つマメ知識

薬局のハカリは検査が必要なのはご存知ですか?

薬局の業務に欠かせない重さを量るハカリ。今回はこの業務用の秤のお話しです。

薬局では錠剤やカプセルの他にも、粉薬や軟膏など形状が一定でないお薬も扱います。これらの薬は何グラムと重量で表現されます。そこで使われるのが秤です。

薬局で使う業務用の秤は0.001g(1gの千分の1)まで量れる精度です。基本的な機能の秤は約6~8万円程ですが、高機能なものは50万円と値段も高価です。
身近なキッチンスケールとは大きく精度が異なります。

そのため、業務に用いる秤には、精度の基準が計量法という法律で定められています。
この精度基準をクリアしていない秤を業務に使うことは禁じられています。
法律が定める公的な検定を受けて、2年ごとに精度を確認します。

秤の検定は、理科の実験のように何種類かの分銅を秤に乗せて精度を確認していきます。
ちなみに、計量法が基準を定める機器は、重量を測る秤だけでなく、体積や距離などを量る機械も含まれます。水道メーター、電力メーター、タクシーのメーターなどです。
これらの機器も検定を受けないと業務に秤が使えない上、罰金を納めなくてはなりません・・

このように精度の基準が設けられている秤ですが、日本国内どこでも同じ数値を示す訳ではありません。
えっ、どういうこと?次回に続きます。

2019/08/15

行政の取組み

水銀回収事業

岡山市内の薬局で体温計や血圧計など水銀を用いた測定器具を無料で回収しています。赤松薬局各店でも回収していますので、お持ち下さい。

でも、なぜ水銀を回収する必要があるのでしょうか。今回は水銀による環境汚染についてお話します。

そういえば最近の体温計や血圧計はデジタルで、水銀の体温計を見かけなくなりました。
あまり知られていませんが、「水銀による環境汚染の防止に関する法律」により制限を受けているからなのです。

えっ、体温計の水銀って環境を汚染するの?

体温計で使われる水銀は、液体状態の金属水銀です。多量に飲み込まない限り毒性はほとんどありません。
問題なのは、液体から気体化した水銀の蒸気です。大気中を漂い、雨と共に川や湖に移動します。
金属水銀は、水中にいる微生物によって毒性の高いメチル水銀へと変化します。
メチル水銀はプランクトン→小魚→大きな魚→人間という食物連鎖によって濃縮され、健康に悪影響を及ぼします。1950年代に起きた水俣病は、メチル水銀が原因です。

水銀製剤の回収が環境への飛散を防ぐことにつながります。
そのため、各自治体は各種団体と協力して回収を呼び掛けています。
岡山市薬剤師会も岡山市と協力して回収事業に参加しています。
赤松薬局各店でも回収しています。体温計や血圧計などの水銀製剤をお持ち下さい。

2019/07/18

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