お薬屋さんのコラム検索
コロナワクチンを接種してきました。あれ?もう始まってたっけ?
実は、薬局は医療従事者の先行接種枠に入っているのです。今回はその体験談をお伝えします。
当日は先ず体調などを記入した問診票を提出。免許証などの身分証明の提示も求められます。
体温測定で発熱がないことを確認した後、医師による問診をパスすれば、いよいよ注射です。
利き腕ではない方の肩の少し下あたりに注射します。
あれ、痛くない。えっ、もう終わったの?というのが個人的な感想です。
注射後は、アナフィラキシー反応(注射直後に出る急性のアレルギー反応)を確認するため、15分ほど経過をみます。反応が無ければ終了です。接種記録書にシールが貼られます。
帰宅後に症状が出た場合の医療機関連絡先と、次回の予約票を渡されました。次回予約は3週間後の同じ時間となりました。
普段診療してもらってる開業医の先生での接種も始まる予定ですね。
ワクチン接種は、自分のためだけはなく、周りの人達の健康と命を守ることにもつながります。ぜひ受けましょう。
でも・・・なんだか怖いわ・・・
参考までに5月14日までの赤松薬局スタッフでの経過です。
年齢 20代1名、30代3名、40代7名、50代3名、60代1名、70代2名 男女 男4名、女13名
インフルエンザより痛くなかった (13/17名)
急性反応は無かった (17/17名)
熱が出た (1/17名)
注射部位が腫れた (2/17名)
注射部位に数日違和感が残った (11/17名)
2021/05/20
首から下げるネックホルダー型の塩素除菌ってコロナ対策に有効なの?
患者さんから質問がありました。興味がわいたので調べてみました。
主な成分は二酸化塩素。タンパク質などを変質させる性質を持っています。
タンパク質で出来た膜を変質させ、コロナウイルスの感染力を低下させることが出来ます。
あら、効くんじゃない?
この性質だけ見ればそうですね。
ただ、二酸化塩素は空気よりも重いため放出されたガスは上昇せず、沈んでいきます。
ホルダーより高い位置にある鼻の周囲には届かないのです。
空気の流れで上昇しても拡散されて薄まり、十分な濃度にはならないと思います。
また、気体の二酸化塩素は不安定な物質で、温度や光の影響を受けて分解されてしまいます。
あら、そうなの。なら、3つか4つ首から下げてもっと濃度を上げたらいいんじゃない?
ハイ、確かに濃度は上がるでしょうね。しかし、濃度が上がり過ぎると人体にも影響が出ます。
目や鼻、気道の粘膜にも刺激を与え、カユくなったりセキが出てしまうのです。
では、据え置き型はどうなの?
机や棚などの低い場所ではなく、天井に近い高い位置に置いた方が良いと思います。
有効性や安全性については、様々な意見があるようですね。その判断の一助になればと思います。
2021/04/15
新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりますね。
今回はワクチンの有効性と副作用についてです。
ワクチンの有効性は90%。どうやって計算したのでしょうか?計算には相対危険度を用います。
接種した人、接種しなかった人での発生頻度を比較します。
非接種100人では50人が発症、接種100人では5人しか発症しなかった場合、接種した45人は接種効果によって発症しなかったと考えるのです。非接種では50人発症しなかった人がいますが、接種群でも50人は同様に発症しなかったと考え、計算から除外します。
非接種の発症50人に対して、接種50人の内45人は発症しなかったため、45÷50=0.9=90%に相当する計算となるのです。
副反応は腫れること、アレルギー反応です。
コロナワクチンは、遺伝子を運ぶ外側の保護膜だけを体内で合成する指令を出します。悪さをするのは中身の遺伝子で、外側は無害です。
元々体内に存在しない外側を異物と認識するため、免疫が獲得できるのです。
免疫システムは、異物として認識した外側を攻撃して排除しようとします。
そのため、炎症が起きて赤くなり、腫れ上がるのです。2~3日は腫れるので当然痛みます。他は、ジンマシン、血圧や意識の一時的な低下、痺れなどです。
いずれも症状は早く消失しています。
救急対応が必要となる重篤な副反応が起きる確率はなんと数万人に1人。万が一ではなく、数万が1です。
数万がイチの副作用デメリットと、90%有効な免疫獲得のメリットでは、メリットの方が遥かに大きい。
だから政府はワクチン接種を積極的に勧めているのです。
2021/03/18
新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりますね。
今回はメッセンジャーRNAワクチンについてです。
体内に侵入したコロナは、人間の細胞を使って自分自身のコピーを大量に作って増殖し、症状を引き起こします。
コロナは、トゲトゲがついた油で出来た丸いボールの中に、糸状の遺伝子が1本入った構造をしています。
悪さをするのは中身の遺伝子で、外側のボールだけでは症状は起きません。
そこで、中身が入ってない外側のボールだけを体内で作り、先に免疫を獲得しておきます。
ボールだけを合成する指令を出すのがメッセンジャーRNAなのです。
ボールは人間の体内に存在しない物質なので、免疫は体内で作られたボールを体外から侵入した異物と認識し、攻撃して排除しようとします。
免疫の獲得までには少し時間がかかりますが、一度獲得した免疫の効果はしばらく続きます。
コロナに対する免疫が無い状態で感染すると、免疫を獲得するまでの間にどんどんウイルスが増殖して症状が進行してしまいます。増殖スピードに免疫反応が追いつけないのです。
先に免疫を獲得しておけば、いざコロナが体内に入ってきた時にすぐ攻撃ができて増殖を防げる、これが予防効果なのです。
でも遺伝子を操作して作ったワクチンでしょ。チョット不安だわ・・という声もありますね。
ワクチンは、マイナス70℃という超低温でないと壊れてしまう程の不安定な物質です。保冷温度と体温との温度差は100℃以上。長期に渡って体に残ることは出来ません。切れ切れのタンパク質となり体から排泄されます。残留するとは考えにくのです。
ワクチンの効果は?副作用が怖い。それはですね・・・次回に続きます。
2021/02/18
前回はアルコール消毒がナゼ有効なのかをお話しました。
今回は感染症学的な3つの要素についてお話します。
感染症学では3つの要素が揃って初めて成立すると考えられています。
では3つの要素とは何なのでしょうか?
要素① 感染するウイルスや微生物の存在
要素② 感染される動物やヒトの存在
要素③ 感染していく経路
当たり前と言えば当たり前ですね。
この3つの要素が揃うとインフルエンザや新型コロナなどの感染症が成立するのです。
逆に言えば、3つの要素の内、どれか1つでも欠ければ感染しないとも言えるのです。
感染を遠ざけるための対応策を考えてみました。
要素①は、手洗いやウガイです。ウイルスなどを体に近づけないことが大事ですね。
要素②は、体を温めたり、体力をつけて抵抗力を上げることです。予防ワクチン接種も有効です。
要素③は、換気する、アルコールで消毒する。近くにいるウイルスなどを遠ざる、撃退してしまう、ということですね。
新聞やテレビなどでよく見かける「新しい生活様式」がそのまま当てはまりますね。
インフルエンザでも新型コロナでも、感染症という概念から考えると、全く同じ予防方法が有効なのです。
まだまだ収束の兆しが見えない状況ですが、出来ることを生活に取り入れて日々を送って頂ければと思います。
2021/01/21
前回は感染傾向を判断する指標についてお話しました。
今回は新型コロナに対するアルコール消毒についてお話します。
トゲトゲした新型コロナウイルスをテレビで見たことがあると思います。
ウイルスの遺伝子は、二重構造の脂肪で出来た膜で覆われています。
(脂質二重膜、エンベロープと呼ばれます)
その膜に突き刺さる形で尖ったタンパク質(スパイクタンパク質、カプソメアーと呼ばれます)が存在します。トゲトゲして見えるのは、このスパイクタンパク質なのです。
油で出来た丸いボールの中に糸状の遺伝子が1本入っていて、ボールにはトゲトゲがたくさん突き刺さっている。イメージできたでしょうか。
新型コロナは丸いボール=エンベロープを持つ構造をしています。
脂質で出来たエンベロープは、脂質を溶かす界面活性剤やアルコールなどで割れて壊れてしまいます。
ボールが割れて遺伝子がむき出しになった状態のウイルスは、感染力を失ってしいます。
ですので、消毒用アルコールは、エンベロープを持つウイルスに対して大変効果的なのです。
ちなみに、エンベロープを持たないウイルスもいます。ニュースなどで聞くのはノロウイルスです。消毒用アルコールは効きにくく、次亜塩素酸ナトリウムなどでの消毒が必要となります。
新型コロナウイルスの撃退には、イスやテーブルのアルコール消毒、手を洗った後のアルコール消毒は大変有効な方法なのです。
拡大を防ぐためには他にも何をすれば良いのでしょうか?
え?耳にタコができる程色々聞いているよ。
まぁまぁ・・・次回は感染症学的な予防方法を紹介します
2020/12/17
新型コロナウイルスの流行が続いていますね。
今回は感染が拡大するのか、収束するのかを判断する指標についてお話します。
判断する指標には再生産数が用いられます。・・・再生産数?聞いたことがないよ・・
免疫学で用いられる用語なので一般的に馴染みがないのも無理はありません。
再生産数はRtと表現されます。1人から何人に感染を拡げるかの指標で、1より大きいか、小さいかで判断します。
例えばRt=2は、1人が2人に、2人が4人にと、感染者数が増えて感染が拡大していく状態を意味します。
逆にRt=0.5は、2人から1人、1人から0.5人にと徐々に減少して収束へと向かう状態を意味します。
さて、新型コロナではどうだったでしょうか。
4月初めはRt=2.27、この後に緊急事態宣言と休校です。
ゴールデンウィーク明けはRt=0.5と下がり、一旦収束に向かいます。政府の対策は有効だったわけです。
6月中旬から学校が再開された7月初めはRt=1.86と再び上昇。
夏休み期間中のお盆はRt=0.81。
シルバーウィーク明けの10月初めはRt=1.17と再び上昇。
現在の数値は「東洋経済オンライン コロナ」で再生産数Rtが公開されています。岡山県の状況もわかりやすく紹介されています。
次回は新型コロナウイルスに対するアルコール消毒の有効性についてお話します。
2020/11/19
前回までのお話は、手元に残っているお薬の活用が節約につながるという内容でした。
今回は活用するには誰に相談すれば良いの?というお話です。
余っているお薬を活用するには、余っている分だけ処方日数を少なくすれば良いのです。余ってる薬も無くなるのでスッキリしますよね。
また、お薬が少ない分だけお薬代も節約できるのです。
成程・・でも誰に相談すれば良いの?お医者さん?薬剤師さん?
はい、どちらに相談して頂いても大丈夫です。
お医者さんに余っている薬を見せれば、次回の受診までの足りない分だけを処方します。
でも、怒られそうでなかなか言えないかも・・・うん、気持ちはわかります。
では、薬剤師に相談しましょう。
実は、余っている薬を活用するための日数の調整は、薬局でも出来ます。
医師も薬剤師もナゼ余るのか?どうしたら余らなくなるのか?原因と改善策を考えます。
「服用回数が多いからでは?回数の少ない薬への変更してみては・・」
「バラバラに渡すからでは?1回分をまとめてパックしては・・」
医療関係者は、過ぎてしまった事より未来に目を向けます。なぜなのでしょうか?
答えはカンタン。患者さんに笑顔で過ごして欲しいからです。
患者さんが笑顔でいられることは、周りの人達の笑顔にもつながります。
みんなが笑顔でいられることを医療関係者は心から願っているのです。
2020/10/15