お薬屋さんのコラム検索
年末年始のお付き合いが増える時期になりました。楽しくてついつい・・翌朝ヘロヘロ。はぁ~また、やってしまった・・・反省したことがある人もおられるのではないでしょうか。
あれ、先月もお酒の話しだった気が・・・前回は、吸収されたアルコールが体の外に出て行くまでをお話しました。
今回は、アルコールが吸収される過程をふまえ、お酒の上手な飲み方を考えます。
さて、お酒に含まれるアルコールは体のどこで吸収されるのでしょうか?
そりゃ胃腸に決まってるだろう。ハイその通りです。
食べ物や飲み物は口から食道を通り胃へ、胃から腸へと送られます。アルコールの吸収は、大部分が腸からです。
その割合は、胃で約20%、腸で約80%です。
胃から腸にアルコールがゆっくりと送られれば、吸収のスピードも緩やかになり、急に酔わないことになります。
胃の中に留まる時間の長い短いがアルコールの吸収スピードに影響するということですね。
ではアルコールが胃の中に留まる時間を長くするものとは・・・ズバリ食べ物です。
食べ物は、胃で消化しやすい状態にされてから腸へと送られます。
食べ物があるとアルコールも一緒に胃の中に留まるため、ゆっくり酔うのです。
和食コースの1品目「先付」には、空腹でのアルコール吸収を防ぐ意味合いもあるのです。
また、消化の良い物より、消化に時間がかかる繊維質が豊富な料理の方が留まる時間は長くなります。お酒は美味しく楽しく付き合うのが一番ですね。
逆に空きっ腹でお酒を飲むと早く酔います。胃をほぼ素通りして腸に届くからなのですね。
え、家に帰ってすぐビールを飲むとウマいし、すぐホロ酔いになるな・・・そのために仕事をしてるようなもんだ?実は私も・・・まったく酒飲みってやつは・・・
2019/12/19
お酒に含まれるアルコール、体のどこで分解されるのでしょうか?そりゃ肝臓に決まってるだろう。ハイその通りです。
今回は、吸収されたアルコールが体の外に出て行くまでと、お酒との上手な付き合い方を考えます。
胃腸から吸収されたアルコールは、血液の流れに乗って全身を巡ります。
脳に届いたアルコールが脳を麻痺させるため、お酒に酔うのですね。
また、全身を巡る血液により肝臓に届いたアルコールは、酵素の働きによって分解され無毒化されます。
肝臓の働きにより、時間の経過とともに血液中のアルコールは徐々に少なくなり、酔いが覚めるのです。
肝臓の酵素によりアルコール→アセトアルデヒド→酢酸という物質まで変化し、無毒化されます。そして体外へと排泄されます。
無毒化の過程で出来るアセトアルデヒドが頭痛や動悸などの二日酔いの原因となる物質です。このアセトアルデヒドが増え過ぎないようにすることが、二日酔いにならずに楽しくお酒と付き合うコツになります。
対策は2つ。分解能力を上げること、排泄量を増やすことです。
肝臓の働きを助けて分解能力を上げる医薬品をお酒の前に服用するのも良いですね。
排泄量を増やすには、むくみをとる漢方薬などが用いられます。お水を飲んで尿量を増やすのも効果的です。
お酒は美味しく楽しく付き合うのが一番ですね。
あ、もう1つ対策がありました。アルコールを摂取しないこと・・・です。
2019/11/21
前回は緯度や標高によって重力が変化し、ハカリに影響することについてお話しました。今回はその対策についてお話します。
緯度や標高による重力の変化を補正するため、計量法では日本国内が16エリアに分けられています。標高や緯度を考慮したエリアに分けられています。
そのため、どのエリアで使うのかを設定する機能が業務用の秤にはついています。
つまり、北海道で設定された秤を沖縄に運んで使おうとすると、エリア設定の変更をしなくては正確に使えないということです。
また、秤が傾いた状態では真下に重みが伝わらないため正確に測れません。
秤の底にあるネジ回し式の足で高さを調整し、地面に対して水平な状態にします。
空気の泡が密封された水平計がついていて、真ん中の丸に入るように高さを調整して水平状態にします。秤を設置する時は必ずこの水平を補正します。
薬局だけでなく、お肉屋さんやお惣菜屋さんで使う業務用ハカリも水平を補正できる構造となっています。
計量法、なじみがない法律ですが、私たちの日常生活を見えない所で支えているのですね。
2019/10/17
前回は薬局で使うハカリの精度は法律で基準が定められていることについてお話しました。
基準が定められているのに、秤は日本国内どこでも同じ数値を示すとは限りません。
えっ、どういうこと?
物体を地球に引き付ける力が引力です。
また、物体には地球の自転によって地球から離れようとする遠心力も加わります。
引き付ける引力と離れようとする遠心力との差、それが重力です。
遠心力より引力が大きいため重力が生じ、私たちは地球上に留まれるのです。
でもこの重力、地球上どこでも一定ではなく、緯度や標高の違いによりごく僅かに異なります。
地球が回転する中心軸、地軸からの距離が長いと遠心力は強くなり、短いと弱くなります。
地軸から遠い沖縄と、地軸に近い北海道では遠心力が異なるため、重力は同じではないのです。北海道では100Kgの物体が、沖縄では約140g軽くなります。
ちなみに北極点と赤道直下では約500gもの違いとなります。
同じ原理で標高も影響します。地表で100Kgの物体が、高さ約450mの東京スカイツリー展望台では約14g軽くなります。
わずかな違いに思えますが、これが高額なプラチナや金の重量だったら・・・困りますよね。
地域や標高の違いを補正する対策が計量法ではちゃんと規定されています。
どんな対策なの?次回に続きます。
2019/09/19
薬局の業務に欠かせない重さを量るハカリ。今回はこの業務用の秤のお話しです。
薬局では錠剤やカプセルの他にも、粉薬や軟膏など形状が一定でないお薬も扱います。これらの薬は何グラムと重量で表現されます。そこで使われるのが秤です。
薬局で使う業務用の秤は0.001g(1gの千分の1)まで量れる精度です。基本的な機能の秤は約6~8万円程ですが、高機能なものは50万円と値段も高価です。
身近なキッチンスケールとは大きく精度が異なります。
そのため、業務に用いる秤には、精度の基準が計量法という法律で定められています。
この精度基準をクリアしていない秤を業務に使うことは禁じられています。
法律が定める公的な検定を受けて、2年ごとに精度を確認します。
秤の検定は、理科の実験のように何種類かの分銅を秤に乗せて精度を確認していきます。
ちなみに、計量法が基準を定める機器は、重量を測る秤だけでなく、体積や距離などを量る機械も含まれます。水道メーター、電力メーター、タクシーのメーターなどです。
これらの機器も検定を受けないと業務に秤が使えない上、罰金を納めなくてはなりません・・
このように精度の基準が設けられている秤ですが、日本国内どこでも同じ数値を示す訳ではありません。
えっ、どういうこと?次回に続きます。
2019/08/15
突然ですが、5月5日は何の日でしょうか?
そんなの子供の日に決まってるでしょ。はい、端午の節句、その通りです。
ちまきや柏餅を食べて菖蒲湯に入り、子供の健やかな成長を願いますね。
でも、実は「くすりの日」でもあるのです。今回は「くすりの日」の由来についてお話します。
約1300年前の飛鳥時代、当時の天皇は5月頃に「鹿狩り」をしたと伝えられています。
鹿の角は、元気をつける漢方薬、鹿茸(ろくじょう)として重宝され、今でも栄養ドリンクなどに配合されています。
さて、聖徳太子がいたころ頃の天皇は、女性の推古天皇でした。女性なので「鹿狩り」ではなく、薬草をつむ「薬狩り」を5月5日に行ったと伝えられています。これが「くすりの日」の由来です。
ちなみに「薬狩り」は恒例行事として長く続いたとのことです。
ついでに菖蒲湯の由来も。
古くから中国では、薬草独特の強い香りが疫病や邪気を払うと考えられていました。
菖蒲や蘭草(洋蘭ではなく、秋の七草のフジバカマ)を入れる漢方の湯治療に用いていました。
日本では蘭草が少なかったため、菖蒲が定着したと言われてます。
菖蒲にはアザロンやオイゲノールなど、代謝や血行を良くする成分が含まれています。
菖蒲湯に入りながら、子供の成長を願うと共に、自然と共に暮らした先人の知恵に思いを巡らせ、健康を考える機会にしてはいかがでしょうか。
2019/04/18
さて、フレイルについて3回に渡り解説してきました。
フレイルというと体や口などの動きだけが取り上げられがちです。
身体的な動きの他にも、2つの関連要素があるのはあまり知られていません。
3つの要素を基に身体活動や健康状態を表す大きな概念がフレイルなのです。3つの要素・・・簡単にご紹介します。
①身体的要素 筋力や柔軟性など体の動きの要素です
②精神的要素 認知症やうつなど活動する気持ちに影響する要素です
③社会的要素 仕事やお金など活動するための経済的な要素です
でもこの3つの要素の関連性って分りにくいですね。
動きたくても体が言うことをきかなければ活動性は落ちます。
体が動くけど気持ちが乗らなければ活動性は落ちます。
体は動くし気持ちもあるけど金銭的な余裕がなかったり仕事で時間がとれなければ活動できません。
動く気力、そのための時間、体が動く、3つの要素が健康な生活に必要なのです。関係性が何となくイメージできましたか?
動いて食べて寝る、社会性という周囲との関係、このサイクルがスムースに回ることが健康的な生活=フレイルを予防することにつながります。
色々な人との交流がこのサイクルを活性化します。
家の中でテレビばかり眺めるではなく、外に出て色々な人と話しましょう。
フレイルにならないことは、自分の穏やかな生活が続くだけでなく、周囲の人も笑って暮らせる幸せな時間が続くことにつながります。
2019/03/21
前回、フレイルには運動と栄養が大きく関わるとお話しました。
今回は栄養を摂取する口の動きについてお話します。
栄養と言うと、あれが体に良い、あの健康食品が良いとお友達が言ってた・・・でもそれらは、食べる飲み込むなどのスムースな口の動きがあってのことです。
体の動きだけに注目しがちですが、栄養を摂取する口の動きもフレイルに大きく影響するのです。
「モグモグ」「カミカミ」「ゴックン」、いずれも口の動きの表現です。
「モグモグ」と「カミカミ」は、舌やアゴの筋肉と、歯を支える筋肉も使います。
「ゴックン」も奥に押し込む舌の筋肉、食道へ送り込むノドの筋肉を使います。
食べるためには歯が残っていることも重要ですが、口の筋肉がスムースに動くことも大事なのです。
筋肉が衰えスムースに動かなくなる、口の動きにもフレイルの考えがそのまま当てはまります。
ということは、口の動きもリハビリなどで元に戻せるということなのです。
では口の動きを保つにはどうすれば良いのでしょうか?
口と舌を動かす体操、柔らかい物ばかりを食べない、などですが・・・やっぱり話すこと!
女性の平均寿命が長い理由は案外これなのかもしれませんね・・・
口が元気に動くことは老化を防ぎ、健康な生活が続くことにつながります。
体を動かすことも大事ですが、口も意識して動かしましょう。
2019/02/02