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子宮頸(けい)がんの原因となるヒト・パピローマ・ウイルス=HPV。今回はワクチンについてです。
HPVは、タンパク質で出来た丸いボールの中に、糸状の遺伝子が入っています。
ガンを引き起こすウイルスは中身の遺伝子で、ボールだけではガンにはなりません。
HPVワクチンは中身が入ってないボールだけを体内で作り出します。
中身の入ってないボールは、ただの容器にしか過ぎず、ガンになることはありません。
作り出されたボールは人間の体内に存在しない物質なので、体内で作られたボールを体外から侵入した異物と認識し、攻撃して排除しようとします。その攻撃によってHPVに対する免疫が獲得できるのです。
HPVには200種類以上の型違いがありますが、ガンになるのは14種類、その中でガンリスクが高いのは2種類です。
それぞれボールの形状が微妙に異なります。少しでも形状が違うと免疫は認識することが出来ません。
そこで、リスクの高い2種類、4種類、9種類のボールを同時に作り出し、一気に免疫を獲得するワクチンが作られました。2価、4価、9価と呼ばれます。
市町村が公費負担で実施するワクチンの主流は4価です。
世界的な主流は9価です。日本でも流通してますが、公費負担ではなく自己負担となります。
免疫の獲得までに間隔を空けた3回の注射が必要ですが、一度獲得した免疫効果は一生涯続きます。
次回はワクチンが救う命に関してお話します。
2022/07/21